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第8回 生命資源研究・支援センターシンポジウム

『マウスリソースセンターの役割』

理研 バイオリソースセンター 実験動物開発室 室長
熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分野 客員教授 吉木 淳

 近交系マウスは、人類が100年かけて育成してきた理想的な哺乳動物の実験系である。今日、近交系マウスに遺伝子操作を加えることが可能となり、マウスは遺伝子機能の解明、創薬および病気の治療法の開発など、生命科学研究に大きく貢献している。我々は、平成14年度から文部科学省のナショナルバイオリソースプロジェクトのマウス中核機関として、国内で開発されたヒト疾患ならびに遺伝子機能の解析モデルを収集し、微生物学的な清浄化および遺伝検査により高品質化を施して国内外の研究者に提供している。収集と提供にあたってはMTAを用いて開発者の知財権を保護しつつ、研究コミュニティによるマウスの利活用を促進している。組織特異的なCreマウスおよび可視化レポータなどの研究コミュニティが必要とする新しいリソースを開発・整備することも重要な役割の一つである。マウスリソースセンターの国際連盟や全遺伝子のノックアウトES細胞から個体を作製し基本的な表現型を整備する国際プロジェクトにも参画して国際貢献を果たしている。今後も我が国のマウスリソースを世界に発信していきたい。