当センターの後藤裕樹准教授(RI・腫瘍病態学分野)らの研究グループは、放射性ヨウ素131(I-131)で標識した抗インターロイキン6受容体抗体を用いた、多発性骨髄腫に対する新たな放射免疫療法の有効性を確認しました。
多発性骨髄腫は、骨髄中で形質細胞が腫瘍性に増殖する血液がんの一種です。近年、新規治療薬の開発により治療成績は改善していますが、再発や治療抵抗性が問題となっており、新たな治療法の開発が求められています。
本研究では、多発性骨髄腫の増殖や生存に関与するインターロイキン6(IL-6)の受容体を標的とする抗体医薬品トシリズマブに、β線を放出する放射性ヨウ素131を標識し、その抗腫瘍効果を検討しました。その結果、IL-6に依存する多発性骨髄腫細胞だけでなく、IL-6に依存しない細胞に対しても増殖抑制効果を示すことを確認しました。さらに、多発性骨髄腫のマウスモデルにおいて、放射性ヨウ素131で標識した抗体が、有意な腫瘍増殖抑制効果を示すことを確認しました。 これらの成果は、従来の抗体医薬品では十分な効果が得られない多発性骨髄腫に対して、放射免疫療法が新たな治療選択肢となる可能性を示すものであり、今後の治療法開発への応用が期待されます。
本研究成果は、公益社団法人日本薬学会が発行する国際学術誌「Biological and Pharmaceutical Bulletin」に掲載されました。
【論文情報】
論文タイトル:Radio-Biological Enhancement of an Interleukin-6 Receptor Antibody by the β-Particle-Emitting Radionuclide Iodine-131 in Multiple Myeloma
Hiroki Goto*, Yujiro Ueda, Mariko Takano, Prin Sungwan, Yoshioki Shiraishi, Koki Hasegawa, Seiji Okada
*Corresponding author
掲載誌:Biological and Pharmaceutical Bulletin
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/49/10/49_b26-00269/_article
DOI:https://doi.org/10.1248/bpb.b26-00269