雌雄不妊症を呈するニーマン・ピックC病モデルマウスの繁殖技術を開発
ニーマン・ピックC病は、ライソゾームにおけるコレステロール輸送タンパク質(NPC1またはNPC2)の異常によって起こる遺伝性の代謝異常疾患であり、日本人における発症頻度は12万人に1人とされている。NPCモデルマウスは、NPC病に対する治療法の開発に有用ですが、雌雄不妊症のため繁殖困難であり、前臨床試験の進捗の障害となっています。
竹尾透教授(資源開発分野)、黒島星利菜(本分野大学院生)、中尾聡宏特任助教(本分野)、中潟直己特任教授(本学生命資源研究・支援センター生殖工学共同研究分野)、石塚洋一教授(本学薬学部臨床薬理学)、近藤悠希准教授(本学薬学部臨床薬理学)、入江徹美特任教授(本学薬学部医薬品包装学)らの研究グループは、NPCモデルマウスの不妊症に対して超過剰排卵誘起法、精子凍結保存、体外受精、胚移植法を応用することで、NPCモデルマウスに対する繁殖技術の開発に成功しました。本研究成果は、欧州の実験動物学に関する欧州の専門誌である『Laboratory Animals』に掲載されました。
今後、NPCモデルマウスを用いたトランスレーショナル・リサーチが推進されることで、新規治療法の開発や既存治療法の有効性や安全性の向上が期待されます。
Efficient breeding system of infertile Niemann-Pick disease type C model mice by in vitro fertilization and embryo transfer.
Serina Kuroshima, Satohiro Nakao, Yuka Horikoshi, Kotono Ito, Akira Ishii, Aina Shirakawa, Yuki Kondo, Tetsumi Irie, Yoichi Ishitsuka, Naomi Nakagata, Toru Takeo
Laboratory Animals. 2024;0(0). doi:10.1177/00236772231194112
【お問い合わせ】
竹尾透
熊本大学生命資源研究・支援センター
資源開発分野
takeo@kumamoto-u.ac.jp