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第8回 生命資源研究・支援センターシンポジウム

『マウス生殖工学技術を利用した効率的なマウスバンキングシステムの開発』

熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野  助教  竹尾 透

 近年、遺伝子改変マウスを用いた研究が盛んに行われるようになり、遺伝子改変マウスの利用を支援する研究施設として、マウスバンクの重要性が高まっている。当施設は、日本を代表するマウスバンクとして、優れた研究支援体制の構築を目指して活動している。

 これまでに私達は、マウスバンキングシステムを支える有用な技術として、マウス生殖工学技術の開発に取り組んできた。中でも、精子の凍結保存および体外受精技術の飛躍的な改良を実現している。マウスバンクにおいて、遺伝子改変マウスの作製に汎用されているC57BL/6マウスの凍結/融解精子における低受精能は、解決すべき重大な問題であった。私達は、精子の凍結保存法および体外受精法を改良することにより、C57BL/6マウスの凍結/融解精子の受精能を大幅に改善することに成功した。本シンポジウムでは、これらのマウス生殖工学技術の開発に関する知見を紹介すると共に、効率的なマウスバンクシステムの構築に向けた今後の取り組みについて述べる。